characterとpersonality

 私の狭い知見によれば、人格の意味を持つ英語の単語にcharacter(キャラクター)とpersonality(パーソナリティ)があります。そして詳しくはわからないのですが、心理学ではpersonalityが人格をあらわすのによく用いられていると聞いています(間違っていたらすみません)。そのあたりの詳しいことは今は脇においておいて、今日はcharacterという語とpersonalityという語を頼りに、人格の捉え方について少し考えたことを書きます。

 まずはpersonalityです。これと語源が同じであろう語にperson(人)があります。このpersonはもとはラテン語のpersona(ペルソナ:仮面)から来ていると聞いたことがあります。演劇の際に顔を覆う仮面は、人が普段の対人関係においてまとう特性つまり人格の現れを象徴しています。つまり人格は対人関係において考えられ、対人関係において現れるということです。

 一方のcharacterです。私は専門的な本を読んでいないので、あくまでも私の思索の範囲内での理解に過ぎないのですが、このcharacterは、personalityが人格を考える上で対人関係を土台にするのと対比すれば、マネージメント(management)をその土台としています。

 人はさまざまな構成要素からなっています。先週述べた五つの鞘に関係させると、肉体、感覚、心、知性などです。五つの行動器官は、手(操作)・足(移動)・舌(発語)・排泄器官・生殖器官だと聞きますし、五感は視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚です。心は大きく4つに分けられるそうです。つまり、マナス(脳、思考)、チッタ(記憶、腹部)、エゴ(ハート、胸)、ブッディ(知性、舌)です。さらには五つの生気(呼吸、排泄、消化、神経、循環)もあると聞きます。他にもあるでしょう。これらは万人がもっている資産です。つまり、characterとはこれらの構成要素=資産を適切に管理すること(manegement)と定義できると思うのです。

 これは例えば、個人の時間やエネルギー、お金、食物の管理につながります。それぞれの家庭の資産はさまざまでしょうが、その家計管理にも関わります。もちろん会社のマネージメントにも。自分が責任をもつ事物に対する適切な管理、それが人格です。

 personalityであらわされる人格は西洋由来の考え方でしょうが、characterであらわされる人格は私の知る限りではインド由来の考え方です。

 小さなものであろうとグローバルなものであろうと会社の経営は結局はman managementに行きつくようです。これは他人を管理することではなく、会社の置かれた状況の中で組織と一体化した自分自身を適切に管理することが、組織の適切なマネージメントにつながるという考え方です。いえ、単なる考え方ではなく、今現在それで優れたマネージメントを行っている数えきれないほど多くの人が実際にいると聞いています。

 自分を何と同一視するか? 単なる個人なのか、あるいは家族の喜びと苦しみを自らの喜びと苦しみと感じるほどに家族と一体化しているか? あるいは地域社会との一体感を感じているか?… 自分がどのレベルにあるにしろ、いつも自らを管理すること、その在りようが人格です。

 私は実は人格といえば今述べたcharacterの意味でずっと捉えてきました。愛をもって肉体を用いること、愛をもって心を用いること、愛をもって言葉を語ること。人間の構成要素にそのように価値を与えることこそが人間である印=人間的価値だと教えられてきました。もちろんcharacterとpersonalityには重なる部分もあることは確かです。しかし、どちらの捉え方をするにしろ、人間にとって人格を高めることはすべての人に求められていると思うのです。