プラーナヤマ(呼吸法)

 ヨガや太極拳などをする人には呼吸の大切さはよく知られていると思いますが、私はそちらのほうのことはほとんど知らなかったので、呼吸の大切さについてはよく理解していませんでした。

 しかし数年前に簡単なプラーナヤマ(インドの呼吸法の一種)を教えていただきました。私が教えていただいたのは、2秒吸って、4秒吐き、8秒呼吸を止めるというものです。いつもばたばたした、気持ちに余裕のない生活をしていたせいか、初めてこの間隔で呼吸を試みたとき、息が詰まって苦しかったのを覚えています。たぶん普通の人は8秒間呼吸を止めることができないのではないでしょうか。

 最近は2秒、4秒、8秒のペースで規則的に呼吸することができるようになり、そのおかげもあり生活にゆとりが出てきたようです。呼吸のコントロールはまさに命のコントロールともいえるものですが、定期的に呼吸のコントロール(プラーナヤマ)をしていると、自分の生活の見直しにつながります。

 息を吸うときは善いものを内に取り込むつもりで吸い、息を吐くときは悪いものを外に吐き出すつもりで吐くといいようです。息を止めている間、体の諸期間が自分の意識を超えたところで活動してくれるおかげで肉体が健康に保たれていることも自覚できます。

 中村天風という人がいますが、以前勤めていた会社の社長が彼に心酔していたので、彼のことをよく聞きました。彼はクンバカ、つまりプラーナヤマでいうところの息を止めることの重要性を指摘していました。当時はわからなかったのですが、彼のいっていることはプラーナヤマのことと自分の本質が神であることを信じることに集約されるのだと最近わかってきました。

 相撲でも立会いの際に呼吸を合わせるといいます。呼吸が合わないと相撲にならないといいますが、ここでも呼吸の大切さがいわれます。先週取り上げた酒井雄哉師も呼吸をコントロールすることで長時間のさまざまな行を乗り切ったといっていました。

 また呼吸はゆっくり深く行うのがいいとききます。人によっては1分間に1~2回しか呼吸しないそうです。私も試みましたが、どうしても1分間に3回くらいは呼吸してしまいます。

 以前ソーハムマントラのことを書きましたが、呼吸を意識することはさまざまなことに役立ちます。呼吸するのにお金は1円もかかりません。健康のためにも、心の平安のためにも、霊性の向上にも資するものです。

 呼吸が途絶えることは命が終わるということです。呼吸を大切にすることは命を大切にすることにつながります。