今回も前回に引き続き、霊性という少し抽象的なことではなく、最近の私の日常生活を特徴づけることの一つを書きたいと思います。今日は園芸に関してです。
私は若いころは趣味という趣味はありませんでしたが、年を重ねて趣味らしきものができました。私はテレビをみませんが、その分テレビを見る人に比べて余分な時間があるわけです。そういう時間を自分の性質に合ったやり方でできるだけ満足のいく形で過ごせないものかと探していくうちに趣味が形成されていきました。主に山歩きと編み物ですが、最近は美術館などに行く機会を意識してもつようにしています。その他にまだ趣味とはいえませんが、少しばかり楽しんでいるのが写真と園芸です。
私は30過ぎまでは地方都市の都市部に住んでいましたが、その頃親が家を買って農村部へと移ってきました。なので農村部に住んでいるといっても農家ではありません。しかしながら家の裏山などを含めれば敷地がほどほどの広さで、約1000平方メートルあります。農村部ではそれでも狭い方ではないかと思います。農家の方々は家と敷地の他に田畑と山を所有し管理しています。多分ですが、農家の方々は私の家よりも最低10倍以上の広さの土地を管理しているのではないかと思います。最近は農家でも三世代世帯は少なめで核家族のところがあったりしますが、核家族でそれだけの広さの土地を管理するのは大変です。最低限の管理だけでもてんてこ舞いでしょう。農家の方々は兼業農家の方が多いですが、私から見れば都市部の方々に比べて非常に働き者です。働き者でなければいずらい雰囲気も少しあります。勤勉に裏打ちされているので、人間として立派な方も多いですし、能力も優れています。農村には農村の雰囲気は確かにありますが、少ない人数でかなりの広さの土地を管理しなければならないことを考えれば、それなりの規範が必要されてくるのかもしれないと思えます。
私の家の敷地は周囲の農家の方々の家の敷地と少し趣が異なっています。農家の方々はきちんとしているところがあるので、敷地内も整然としたところがあります。皆ではないでしょうが、除草剤を使って雑草を押さえているところもあります。それに比べれば、私の家の敷地は雑然としています。何といっても私の管理が行き届いていないからですが、他にも理由はあります。以前私が今住んでいる家に住んでいた方々のおかげでしょうが、敷地内にさまざまな植物が植えられています。お茶の木や、フキやツワブキ、ヤマモモの木、梅の木やミョウガの床などを含めさまざまに有用な植物が植えられています。私の親が住むようになってからも親や私がなにがしかを植えています。ハッサクやキンカン、ザクロの木、レモングラスなどです。敷地に有用な植物が多いのは、昔の人の知恵なのでしょう。食べるもの以外にも役立つ野草が10はありそうです。花木も幾種類かあります。敷地内を見ればいろいろなことが思い起こされます。また私は除草剤や農薬を使わないので、自分でいうのも何ですが、周辺の環境に比べても多少生態系が豊かな気がしています。虫は多いですし、野鳥やヘビ、カエルもたくさん見かけます。山との間に柵を設けるのが困難なため、イノシシやシカが敷地内を歩いています。ミツバチやスズメバチを含めハチも数種類はとんでいるでしょう。管理が行き届かないので、特に夏場は雑草がたくさん生えます。不思議ではありますが、年によって生える草の種類が違うようです。
当初は家庭菜園を作るように努力をしていましたが、虫やイノシシの影響などでまともに野菜を作るのは困難です。生えるものや育つものを作って食べています。ミョウガやシソ、ネギ、大根、ニガウリ、オクラなどでしょうか。少しくさそうなものは虫やシカ、イノシシは食べようとしません。また野菜ではありませんが、最近少しばかり種まきを楽しんでいます。野菜や花の種は採れるものはとっていて、時期が来ればまきます。その他にも雑草といわれるものでも増やしたいものは種をとって敷地内にまいています。家に松もありますが、松ぼっくりから種をとりまいたりもしています。さらには買ってきた果物を食べた後の種もです。
敷地がある程度広ければ、園芸はかなりの時間と労力を要する趣味になります。私は今はせいぜいお客さんが来た時にむさくるしく見えない程度に雑草を刈ったり木の剪定をしたりするので精一杯ですが、それでも以前よりは意識的に努力して敷地をどうするか考えています。時間と手間がかかりすぎて少し手を加えればすぐに季節が移動してしまい、いつもやることが中途半端です。それでも一生懸命庭に手を加えるようにしていますが、たとえてみれば、いつまでたっても未完成の絵を描き続けているような感じです。自然との共同作業は思っている以上の奥深さがありますが、未だ十分に園芸を楽しめる域に達していません。
地方の農村部は人が少しずつ少なくなって不動産を手放す人も増えているようですが、地方の農村部に住むことの楽しみの一つに園芸があると思うのです。若いころには思ってもみなかったこういう楽しみを味わえたのはよかったと思います。