愛に生きる

日常生活から少し離れて内省の時間にふと浮かんだ思いを記します。

状況に適応する経済人たち

ときどき優れたビジネスマンの書いたものを読むことがあります。物事の本質をつかむことができなければ、経営は失敗することが多いので、成功しているビジネスマンから学ぶことは多くあります。

最近関心を持っている人に宋文洲氏がいます。華僑ですが、日本でビジネスを立ち上げ、上場を果たしました。マスコミにも登場することが多いようですが、彼は遠慮ない話をされることが多く、日本社会にとって厳しいこともよく言われます。しかし納得のいくことを言われるので、彼の日本への愛を感じることもしばしばです。

彼の本を読んでいると、「自分にとっての『成功』を定義しなおそう」という文章に出会いました。創業者が会社を上場すれば大きな財産を築くことができるので、一般的にいえば彼は成功者です。その彼は、成功の形は人によって様々ですといいます。資産や名誉、知名度を得た多くの方との交流の中で、それらが必ずしも彼らにとって成功を意味しているとは限らないと気づいたそうです。

宋氏はお父様の次のような言葉を取り上げています。「食べ物があってやることがある。これ以上の幸せがどこにあるんだ?」若いころはこれを聞くといやな思いになっていたそうですが、しかし時が経つにつれて自分の思い込みが間違っていたと確信するようになったそうです。それは成功のひとつの形なのでしょう。

私は宋氏のお父様の言葉がよくわかります。食べ物があって、死ぬまで何かすることがあれば、とても幸せだと思います。することがないというのは、そういう状況に陥ったことのない人にはわからないかもしれませんが、大変な苦痛です。

「日本で一番大切にしたい会社」(坂本光司)という本が話題になりました。私はビジネスはモラルに基づいて行わなければならないと考えているのですが、この本で取り上げられた会社はすべて、社員や社員の家族、取引先、地域の人々の雇用と福利を第一に考え、それだからこそ多くの方々(社員を含む)の力によってすばらしい業績を上げています。これらの会社には海外からも視察が来るようです。経営はその国の文化にあった形態であるとき、最も力を発揮するといわれますが、日本が世界に推し広めていい、モラルに基づいた経営スタイルをとっている大小の会社が今の日本にこれほどもあるのかということを坂本光司先生の多くの著書を読んで知りました。

日本が没落するのは、日本人が働かなくなったときです。働いても何も得られないと人々が思うようになったときが真の危機です。社員を大切にする会社が増えてほしいと思います。

「日本で一番大切にしたい会社」で取り上げられているような、優れたモラルを持った会社に特化した投資信託を販売している会社に鎌倉投信があります。そこの代表者の方の見識にもうなずかされることが多くあります。その方は「投資の真のリスクは資産の目減りではなく、投資の目的を見失うことです」とおっしゃいます。人生についても同じことが言えます。少しくらい失敗したり何らかの損失をこうむることがリスクなのではありません。人生の目的を見失うことが最大のリスクです。日本社会は失敗をあまり許さない社会のようですが、私は自分の失敗に対しても他人の失敗に対してももっと寛容であっていいと思います。

現代のビジネス社会においては、「強いものが勝つのではなく、適応したものが勝つ」といわれます。ビジネスのすばらしさは状況に懸命に適応しようとするところだと思います。消費者のニーズ、社員のニーズ、社会環境の変化などさまざまなものに適応しなければいけません。それができなくなった会社は不正に手を染めたり、成長をやめ衰退の道をたどるようになります。