リーダーシップ2

 

私はこれまであまりリーダーシップを必要とする立場になかったことにより、それほどはリーダーシップについて学んでいません。今までリーダーシップについて心に残っていることとしては、奉仕の精神を体現している人がリーダーになるべきこと、フォロワーシップこそがリーダーシップを学ぶ場であること、リーダーはメンバーと存在を共有していなければならないことなどがあります。今日はそれに加えて一つ気になったことを書いてみたいと思います。

 

以前セブンイレブンのCEOであった鈴木敏文氏について取り上げたことがありますが、彼の著書や彼について書かれた著書を読む限り、私は彼は経営の天才であると思っています。アメリカには経営の天才が力を発揮する土壌がありますが、日本にも本来経営の才能をもった人がいるにも関わらず、その才能を発揮できている人はわずかでしょう。ヤマト運輸の元社長小倉昌男なんかも優れた方でしたが、個人的には鈴木氏の方が学ぶところが多くあります。私は優れた経営者がもっと多く日本で活躍してほしいと願っており、また中小企業ももっと多く誕生して、日本経済を活性化してほしいとも思っています。経営学は日本に広まって欲しい学問の一つです。

 

さて、今日の本題です。鈴木敏文氏の『商売の原点』という本があります。それを読んでいると次のような表現が目に止まりました。「組織にあって「長」がつくのは、部下を通して仕事をする人のことです。それができなければ、あってもなくてもいい、人体でいえば盲腸(虫様突起)のようなものです。」(p184)

 

当たり前といえば当たり前の言葉ですが、考えさせられました。部下はある意味自分の分身なわけです。別の人間ではありますが、しかし部下は「長」がつくものの仕事をするわけです。これは部下から見ればフォローワーシップ、つまりリーダーに忠実なフォロワーであるべきだということになります。おそらくフォロワーであろうと長年心がけてきたならば、フォローワーであることを容易にする要件を理解するようになると思います。その要件を理解しているならば、その人がリーダーになったときに部下にその要件を示し部下に仕事をしやすい環境を提供しやすくなるでしょう。

 

さて、人は思いのとおりに言葉を話し、言葉のとおりに行動するときに最も力を発揮します。ならば部下を通じて仕事をする際に、「長」がつくものは部下と思いを共有しておくことは必須になるはずです。会社ですと、会社の基本原則は身にしみていなければなりません。基本原則が身にしみていたならば、部下の個性に任せて基本原則の実行を徹底してもらえばいいわけです。大変なのは、思いを真に共有すること、基本原則を理解して身につけてもらうことです。リーダーの仕事のかなりの部分はその点に集約されえます。部下に理解してもらうためには、自らがある程度コミニュケーション能力を身につけ、相手が理解しやすいようあの手この手で繰り返し要点を示します。言葉だけでなく手本を示すことも含まれるでしょう。

 

会社組織ですと成果はドライに数字で評価するのが簡単です。基本原則を理解してもらえれば、部下の人格に手を加えようとする必要はまったくないですし、部下の評価はそのまま「長」がつくものの評価となります。「長」がつくものと部下はある意味一つの存在なわけです。

 

私はリーダーとしての経験が不足していますので、あまり偉そうなことはいえません。ただ鈴木氏の言葉はリーダーシップについて考えている人にとって何かを考えるきっかけを与えてくれるのではないかと思い紹介しました。リーダーと部下の関係を父と子に例えている文を他の本で目にしたことがありますが、ある種それに近い親密な関係があってこそ、部下を通して仕事をすることができます。常々諸リーダー方が、家庭や地域、社会をより良い方向へ方向づけることができますことを願っており、今日は少しばかりリーダーシップについて書いてみました。