家庭、家族について

人間にとって家族はとても大切なものであると同時に、厄介な問題もそこに入りこんできます。家庭とは、家族が自分の素の姿でお互い接する場です。家族のメンバーの長所も短所もありのままにぶつけあうことになります。

 家族の一人ひとりはそれぞれ社会と関わりを持っています。家族の一人ひとりは社会との関わりの影響を家庭に持ち込みます。家庭に、さまざまな影響が入り込んできて、家庭は時に風雨にさらされることがあります。

 外で仕事をしている人は、ビジネスの価値観を家庭に持ち込みます。子どもたちは、学校の先生や友人たちからの影響を家庭に持ち込みます。テレビやインターネットからもさまざまなものが家庭に入って来ます。家庭が外の世界とつながりを持っていることはそれ自体はいいことですが、それが家族の調和を乱すほどに影響が大きければ、家庭は大変なことになります。

 家庭とは結局のところ何のために在るのでしょうか? 人それぞれ考えを持っていると思いますが、私は静かに超越的なもの、神を想うために在るのだと思います。家族の構成員がお互いに助け合い、そして家族全体で社会のために奉仕するための拠点が家庭だと思います。家庭に平安は欠かせません。

 家庭は社会の縮図です。夫婦は互いにそれぞれの価値観を持っており、それはそれぞれの生い立ちによります。夫婦は各自の価値観を越えてお互いを尊重し合わなくてはなりません。相手を変える必要はなく、そのような違いを越えた愛を育むべきです。家庭によっては、お互い尊重し合って生活がなされていることもありますが、テレビの国会中継にあるような政治が家庭を支配しているところもあります。家庭の平安は天国であり、家庭の混乱は地獄です。

 動物はすべて助け合って生活しています。蟻は1匹では無能な存在ですが、群れになると非常に高度なことを成し遂げます。鳥も1匹では生存を確保するのも難しいものですが、群れで行動することで種を保っています。人間も決して一人では生きることはできず、他者との関係の中で自己が発現されるのです。家族はその基本単位です。

 私にとって家族はとてもいとおしいものです。過去多くの問題を抱えていた家族ではありますが、人は特定の他者と密度の濃い関係を通して多くの成長の機会が与えられます。家庭において基本的な人間関係が訓練、形成され、それは社会へと拡大されていきます。文化や伝統も家族を通して若い世代へと伝えられて行きます。