愛に生きる

日常生活から少し離れて内省の時間にふと浮かんだ思いを記します。

自然から学ぶ

 人から学ぶこともたくさんありますが、言葉を用いない自然からもたくさんのことが学べます。自然が言葉を使わない分、多少わかりにくくはありますが。

 自然からはさまざまな価値を学ぶこともできれば、製品をつくるための技術も学べます。最近はバイオミミクリー(生物模倣)という手法でさまざまなものが開発されているようです。これは、生物の形態やシステム、戦略を研究・模倣することで今までにない技術を開発することです。

 たとえば、新幹線の先頭車両はかわせみのくちばしに似ていたり、カメレオンから学ぶことで温度で変色する塗料を開発したり、ガラスのようにすべるものの上でも自在に歩くことのできるヤモリの足から強力な接着力のある面ファスナーを開発したりなどが、バイオミミクリーの例だとされます。多分これから爆発的にこの分野は発展していくのではないかと私は感じています。単なる人間の賢さに頼るだけでなく、何百万年あるいは何億年も生き抜いてきた生物にはすべて聡明さが備わっており、謙虚にそこから学べば、自然への敬意を育むことができ、同時に社会の発展が見込まれるのですから。

 自然からは倫理的な価値も学べます。

 自然は多様です。ミクロの細菌や粘菌などから始まり、植物、動物、昆虫、魚類、鳥類などなど、一説によれば400万種とも、1000万種ともいわれる生物が地球上にいます。この200年ほどの間にかなり生態系を破壊してきましたが、それでもありとあらゆる特徴をもったさまざまな種が全体として調和を持った生態系を作り上げている点から、人間も多様でありつつ、調和を持った社会を築き上げるヒントが得られると思うのです。自然界では食物連鎖がありますが、しかし、人間以外の生物は自らに必要なもの以上を貪欲に求めることがありません。あるいは、自然界からはごみが生じません。持続可能な社会を作る際に、生態系は多くのヒントを示してくれるでしょう。

 また私の心に強いインパクトを与える自然の特質の一つは、その漸進性です。つまり自然の歩みのペースがとてもゆっくりしていることです。私はことさら物事を急いで行おうとする癖があるからかも知れませんが、自然の歩みのペースのゆっくりさ加減をみては、ときどき自分に急がなくていいのだと言い聞かせています。

 自然はゆっくりと変化するとはいっても、その変化の中に、何億、何十億、あるいは何兆という命をふところに抱え、絶えずそれを育み、それを死へと導いています。昨日と今日はほとんど異ならない毎日ですが、30日も寝起きすれば、季節がかなり移り変わっていることに気づきます。たとえば、1月と2月を比べても、寒さはほとんど変わらないのですが日の長さがずいぶん変わってきたように感じます(2月は光の春といわれているようですし)。自然はその責任が重いがゆえにゆっくり歩んでいるのかもしれません。また立ち止まることもしません。

 他にも学べることはたくさんあります。川が絶えず水を流し続けてくれることで、人間は飲み水に困らず、農業を営むことができます。これはたとえば人間に愛の水を他者に注ぎ続けなさいとの教えとも取れます。

 皆さんどうでしょうか? 身近な自然に少し目を向けて、少し熟考すれば、何か気づくことがあるかもしれません。