愛に生きる

日常生活から少し離れて内省の時間にふと浮かんだ思いを記します。

欠点の自覚は変容のチャンス

 人間には誰でも向上への強い衝動があると思うのですが、向上するためには良いことをする道もありますが、もう一つ欠点を取り除くという方法もあると思うのです。エネルギーに満ちていて、あれがやりたい、これがやりたいという意欲でいっぱいの場合、その気持ちに沿ってさまざまなことに積極的に取り組むのがその人にとっていいことだと思います。

 一方、何かをやりたいという強い願望がない場合には、心を内省して自分自身への理解を深め、欠点を自覚するということも人間性の向上を促します。人間の欠点とは、エゴ、執着、(必要以上の)欲望、憎悪、高慢、怒りなどのことです。これらは他者との関係の中で軋轢を生み出します。しかし普通の人間は相手が悪いと思って、自分の内に悪があるかもしれないと振り返ることが少なかったりします。あまり自分に非がない場合に、自分が悪い、自分が悪いと自分を責める人も中にはいますが、度を越した自己卑下はこれもエゴです。こういうものに無自覚な人もまたいます。自分の欠点に気づくことは難しいことです。

 自分の欠点を教えてくれる人がいます。世の中にはさまざまな人がいますが、皆鏡のような存在です。自分の欠点に気づかせてくれた人には感謝しなくてはなりません。自分の間違い、欠点に気づいたならば、次のステップはそれを取り除くことです。人間の欠点を取り除くということは、単に部屋に落ちているゴミをゴミ箱に捨てるというような単純なことではありません。それは、変容を必要とします。ヘビが脱皮するように、人間がガラッと変わらなければ欠点、悪徳を取り除くことはできないのではないでしょうか。例えばお金に強い執着のある人は、自分の体に火をつけて火傷を負い、同情をかってでも借金取りから逃れようとするそうです。欠点を取り除くことも大変難しことです。

 私のことですが、最近状況がバタバタすることがあって、物事をサッと済ましてしまわなければいけないことがあったのですが、その際ふと口から嘘がついて出てきました。嘘をいったあと、しまったと思ったのですが、後の祭りです。非常に嫌な思いに長い間とらわれてしまいました。些細なごまかしなのですが、小さくともこういう悪を取り除くためには、普段からバタバタした状況を作らないように、事前にしっかり熟考した上で物事を準備し行う習慣をつけておき、いつも落ち着いた心で人と言葉をかわす習慣をつけておかなければなりません。大変といえば大変ですが、悪を取り除くためには必要なことです。悪は私に脱皮せよ、変容せよ、生き方を変えよと呼びかけます。

 他者の悪に気づいたとき、その人が悪に気づき、その悪を取り除く助けとなることができるでしょうか? イソップ童話だったと思いますが、北風と太陽の話があります。男のコートを脱がせようと北風と太陽が競いました。北風は強い風を吹き付けて男のコートを吹き飛ばそうとしました。男はしっかりとコートを手にもち、男からコートを脱がすことはできませんでした。一方太陽は、温かい光をたっぷりとその男に注ぎました。男は暑さにたちまちコートを脱ぎました。コートはエゴのようなものだと思います。相手の非を非難していては相手は一層エゴにしがみつきます。相手がエゴを取り除くには、太陽のように愛の光をその人に注ぐといいのではないかと思います。そうすれば相手はエゴというコートを脱ぎ捨て、心を開くのではないかと思います。そして相手は変容へと誘(いざな)われるでしょう。

 すべてのことに対して心を開くこと、結局はそれが人生がうまく回り出す秘訣なのかもしれません。