愛に生きる

日常生活から少し離れて内省の時間にふと浮かんだ思いを記します。

3つの奇跡

10年以上前に人から聞いた話です。そして申し訳ないのですが、全体として間違ってはいないと思いますが記憶が少しあやふやです。それでも書く価値はあると思うので、今日は私が聞いたその話(と私の記憶の中で熟成して尾ひれがついたもの)を書きたいと思います。それは3つの奇跡に関する話です。
 
私は輪廻転生を信じています。存在は無機物から植物、動物を輪廻し最終的に人間へと生まれ変わるとされます。輪廻転生を信じない人にはまるで意味のない話かもしれませんが、輪廻を信じる人からすれば、人間に生まれ変わるというのは奇跡的なことだとされます。何百万種もの動物・植物があって、その一つ一つの種に数百から何百億もの個体があります。つまり生物というか存在の単位の膨大さからいえば、人口が70億いるとしても人間に生まれてくるというのは非常に稀で恩寵ともいえる出来事です。人間に生まれてくるということ、それがまず第一の奇跡です。
 
人間であるときにだけ、さらにその上の存在つまり神的存在を目指す資格が与えられます。それは特権的なことです。動物たちは動物たちの自由を生きていますが、人間だけは本能というものとは別の原理によって生きることができます。まずそのことを理解しなければ、動物と同じように人生を過ごしてしまい、もしかしたら豚に真珠、猫に小判とでもいうような有様を晒すことになります。中々ありがたさを実感しにくい面もありますが、人間に生まれてくるのは貴重なことだということを知っておいて損はないでしょう。
 
第二の奇跡は、人間に生まれてきた上で、さらに真理の探求をしようという気が起こることだとされます。多くの人は食べて寝ての生活をしながら時間を過ごします。それでもまあいいといえばいいのです。ほとんどの人は他人に大きな害を与えることはなく、小さな善を積み重ねています。それでいいのです。しかし稀に真理の探求をしようという気になる人があります。歯が痛くない間は歯医者に行こうという気は起こりません。背中がかゆくなければ背中をかこうという気になりません。しかし歯がうずいたり背中がかゆくなるのに似て、自らの存在の不完全さというかそういうものにとらわれてしまって何が真理なのかと本当のことを真剣に求め出す人がいます。そして一旦求めだすと、自らが完全に納得するまでその探求は続きます。些細なことなら数年で結論が出るかもしれませんが、抱える問題によっては一生の間その問題に取り組みます。無理に人をその気にさせることはできないのでしょうし、そういう機会はふさわしい人にふさわしい時期に訪れるとも聞きます。一説によると、そのような探求の道に入る人は百万人に一人くらいの稀さともされます。日本だと全国に100人少しくらいの数になります。しかしもう少しはいそうではあります。
 
第三の奇跡はふさわしい師に巡り合うことだとされます。問いを抱えた人は最初は自らの手で歩みを進めようとしますが、問題が大きければ大きいほど解決は困難であり、長い間もがく期間があるのが普通かもしれません。その問いが真剣であるならば、人はその問いから逃れることはできず、そして一方自らの力による解決も困難に見えます。そうしている内に、何かの拍子にというか、いや正確には恩寵なのでしょうが、ふさわしい師にふさわしい時に出会います。本当にふさわしい師は稀ですが。一生を通じて関わる師です。ある意味ではその師は生活のあらゆる面倒も見てくださいます。そのような師に出会えた人は最高に祝福されているといえるでしょうが、それでも人生を歩むのは自分自身であって、それをそばで温かく見守ってくださる方=師がいるだけでも励みになります。
 
人間に生まれてくること、真理の探求の道に入ること、ふさわしい師に出会うこと。この3つの奇跡があってこそ、人間として生まれてきた甲斐があるというものです。真理の探求の道に入るのは百万人に一人くらいだと書きましたが、さらにそのうちのごくごく僅かな人だけが人生の目的地に到達するとのことで、私はそのための努力をしているのですが、至らぬところを自覚してはいて、目的地に達するかどうかはわかりませんが、少なくとも死ぬまでその努力を続けることができればそれでいいと今は思っています。
 
真理の探求、霊性の道は最初は厳しく感じることが多かったのですが、10年20年と続けているとそれ相応の喜びが伴うもので、それだけでも私のこれまでの人生はまったく無駄ではなかったと思います。そして世間的には結構大変な人生ではあるものの、一方でかなり祝福されていると感じており、さまざまに感謝の念をもつのです。何はともあれ、この文章を読んでいる方は皆残らず人間に生まれてきており、また霊性に関心のある方でしょうから、皆様にも大きな祝福が注がれているのは間違いないといえます