世界にはどの分野においても、とてつもなくすばらしい能力を持った人たちがいます。学問においても、ビジネスにおいても卓越した才能を発揮している人たちがいます。直接そういう人と接する機会がなくとも、本などを通じて、そのような人が世界に存在していることを知ることができます。上には上がいるものです。たとえ、現代にいなくても、歴史を探せば必ず自分より優れた人を見つけることができます。
個人は地域の中で生活しており、地域は国家によって支えられ、国家は世界の中で発展することができます。世界は地球の生態系の恵みを受けており、地球は、大宇宙の中のほんのほんのちっぽけな点に過ぎません。このことを考えるだけでも、エゴを膨らませることがいかに滑稽かがわかります。
本当に謙虚な人と謙虚なふりをしている人はすぐにわかります。謙虚な人は本当に謙虚です。また、謙虚さは自己卑下とも異なります。謙虚な人は、エゴやプライド、憎悪、執着などの悪徳と無縁であり、人格が円熟しています。彼は信頼に足る人であり、自らの役割を果たすことで世界を支えます。知識はあるに越したことはないでしょうが、謙虚な人はたとえ知識が少なくとも、それを役立てることができます。謙虚でない人は知識をひけらかします。
謙虚さといえば、私は野に咲く花や夜空に輝く星を思い浮かべてしまいます。
この小さな花を摘みとってください、いますぐに! 花が萎れて 塵にまみれはせぬかと、わたしは気がかりなのです。
そんな小さな花では あなたの花輪に編んでいただけないかもしれません、それでも、あなたの手から伝わる痛みの感触で 花を嘉し、摘みとってください。いつのまにか日が暮れて、献花の時刻が過ぎはせぬかと、わたしは気がかりなのです。
花の色は淡く、香りは仄かでも、この花をあなたの礼拝に役立ててください、時過ぎぬまに 花を摘んでください。(ギタンジャリ6 タゴール)
謙虚さがあってはじめて、人は社会に場所を得、生活していく基盤が与えられます。謙虚さはたとえようもないほど高価な宝石です。
* "A fool thinks himself to be wise, but a wise man knows himself to be a fool."-William Shakespeare
「愚か者は自分のことを賢いと考えますが、しかし賢明な者は自分が愚か者であることを知っています。」(シェイクスピア)