倫理は論理

 自分が軽くない病気にかかったこともあって、もう15年以上も前になりますが、福祉関係の本を何冊も読んだことがあります。おそらくその中の一冊に書かれていた言葉だと思うのですが、最近ふと思い出したものに「倫理は論理」という言葉があります。

 倫理は価値判断とそれを日々の生活の中で実行に移すことで、論理は何となく数学や科学、学問の領域での思弁に主に用いられるもので、この倫理という言葉と論理という言葉は少し意味が離れている印象があります。

 しかしながら、私が読んだ本には、もう15年以上も前のことなのでうろ覚えなのですが、「真に倫理的なことは論理的に説明できる」というようなことが書かれてありました。今でも覚えているのですから、この言葉は当時かなり私の心を打ったはずです。

 論理的に説明できるということは矛盾がないということです。矛盾があるということは、おそらく善と悪や是と非、良心の呵責を感じることがそこに交じり合っていたり、自ら一つの視野でそれを見ることができないということです。

 真に倫理的であるならば、すなわち人間として善あるいは正しいと自らの行為を認めることができるならば、それは自らと他者の心を欺くことなく、言語の運用能力の程度にもよるでしょうが、きちんとふさわしい形で説明できさえもするでしょう。

 この言葉に出会う以前からかもしれません。あるいはこの言葉に出会って以後特にそうなのかもしれませんが、何かを行うとき、より重い選択をする時にはなおさら、まずは自分に納得させることができるか(つまり論理的か)確認して行動に移すようになったところがありそうです。

 一般論として倫理的なことはいつも論理的なのかはわかりません。ただ私はこの言葉をこれからも大切にしていくつもりではいます。