サティアサイババ

私と同じくらいの年齢、あるいはもう少し若くて40歳前後以上の人の多くが彼(サティアサイババ)の名前と姿を知っていると思います。20年くらい前にマスコミでよく話題になりました。一方で30代よりも若い人のほとんどは彼を知らないと思います。

彼は2年前に亡くなりましたが、その葬儀はインドの国葬でした。政府関係者を除いて国葬されたのは、マハトマ・ガンジーマザーテレサについて3人目だそうです。彼の残した足跡は、インド国民そして世界の多くの人々の記憶に残っています。

彼は多くの霊的求道者に道を示してきました。その霊的知識は驚異的なもので、世界中のありとあらゆる求道者を満足させるものでした。「カント以前の西洋哲学はすべてカントに流れ込み、カント以後の西洋哲学はすべてカントから流れ出した」という人がいますが、それに比して言えば、彼はありとあらゆる世界中の霊的潮流を復興させ、新しい息吹を吹き込んだと言えます。ほとんどの人は気づいていませんが、静かで着実な霊性のうねりが現在生じています。

彼は母親に従いました。母の願いを叶えるために力を注ぎました。彼はインドの小さな村に生まれたのですが、そこは水や医療、教育の行き届かない地でした。母は小さな病院を作って欲しいと願いました。彼はその願いに応え、治療費、入院代、食事代などすべてが無料の高度専門病院や総合病院を作りました。その医療技術は世界最先端であり、心臓移植や脳外科手術などが毎日行われています。日本からそこへ行っても、無料で治療を受けることができます。
母は学校が欲しいと望みました。彼はその願いに答え、幼稚園から大学院に至るまですべて無料の学校を作りました。学生の成績はインド国家レベルで見て最優秀で、海外の学術賞なども得ています。単に成績が優秀なだけでなく、人格も優れています。彼らの人格に接したアメリカ人の中には、アメリカの学校教育の欠点に気づいた人もいるといいます。私も学生の一人に接したことがありますが、日本の学校教育を経てきた人には決して見ることのできない輝きを持っていました。
母は井戸を掘って欲しいと望みました。彼はその願いに答え、無料で水を何百万人もの人々へ提供しました。インド政府ができなかった事業を引き継いて完成したものも含んでおり、ヨーロッパの中規模の国家全体に水を供給するほどの事業でした。

彼はわずかばかりも否定的なものを持たず完全なプラスでした。一方私は否定的な想念に満たされており、マイナスでした。プラスとマイナスがひとつになったときに電流が流れます。私には何らかの変容が起こり、人間について、人生について、社会について、宇宙について、少しばかり理解するきっかけを得ました。私はこのブログに書いてあるようなことを理解できるようになりました。

彼に心惹かれた人はたくさんいますが、その中の一人は、彼が「あなたの幸せが私の幸せなのです」と言った言葉に心打たれたそうです。普段人は自分や家族のことばかり考えて生活しており、他の人の幸せを考えて生きていない。ましてや他の人の幸せを自分の幸せと考えることはなかったと。彼(サティアサイババ)は、私たちが至福を感じているときに安らぎや満足を感じるのだそうです。

彼について知る一つの手立ては彼の言葉を記録した本を読むことです。「サイババエスを語る」は、本の題名通りイエスについて語ったものですが、この本はキリスト教に限らず、宗教について理解するのにわかりやすくそして読んでいて甘さを感じる本だと思います。「ブリンダヴァンの慈雨」は人間とその人格について理解するのに適切な本だと思います。私は比較的さまざまな領域に関する本を読んできましたが、これほど人間に関して理解を深めてくれる本はまず見つからないのではないかと思います。(初めて読むと少し難しいかもしれませんが)

彼について語ることは困難です。あたかも大海にほんの一滴の水を注ぐかのような感覚があります。私は彼についてうまく語れませんが、しかし彼の名は心に留めておく価値のあるものです。