自己啓発本

 自己啓発本が読まれていると聞く一方、先日自己啓発に関するものはもう読みたくない、うんざりだという意見もインターネット上で見ました。私は自己啓発本の元祖とされるカーネギーの『人を動かす』を読んだことはありますが、他には読んだ記憶がほとんどありません。
 
 このブログの記事もある観点からは自己啓発に近いものかもしれませんが、私はそのつもりで書いているのではなく、ただその時々に心にあることを書いているだけです。主に自分の経験に基づくことを書いているのですが、それがもし誰かと理解し合えるものならばそれに越したことはないくらいの気持ちでいます。
 
 人生の大部分はその人の心(思考)のあり方に多く影響を受けるので、心のありよう、気持ちの持ちようを変えるための本があってもいいとは思うのですが、もし私が自己啓発本に関して疑問点があるとすれば、それは次の点です。つまり、何かの困難や課題に直面しているとして、それを一気に解決したり状況を好転させることはできるとしても、しかしながら人生では着実さのほうが大切だということ。
 
 人間の向上・進歩、あるいは霊性に関することは急ぐことはできず、また(危険が伴うことがあるため)急ぐべきでもありません。現代では日常的に飛行機や新幹線などの高速移動手段を用いますが、しかし人間性霊性の向上は地面を自らの足で一歩一歩歩むような遅々としたものです。誰もがそうです。そして、神に関すること、つまり神に祈りを聞き届けてもらうとか、愛をはじめとした神の性質を身につけるとか、神の恩寵を受け取るなどのことは、自然なプロセスによってもたらされるといいます。人工的な手段は用いる必要はないし、また漸進的、ゆっくりとしたプロセスであるということです。
 
 そのような、時に試行錯誤を伴うこともある人生の行程において、自己啓発本はもしかしたら「楽な」人生の解決があると人々に誤解させているのではないかと感じています。あくまでも、自己啓発本をほとんど読んだことのない私の思うところではありますが。
 
 しかしながら、どの本からも何かは学べるもの。自己啓発本を読んでいて、何か心に訴えかけるものがあるならば、それを生活の中に取り入れてみることはいいことで、読んだだけでその気になるのではなく、一連の実行を伴うならば、それが正しい自己啓発本の読み方なのだと思っています。実用書でもその他の本でもその点は一緒ですが。

 何はともあれ、私には自己啓発本というものは心理学を少し応用した生活のコツのようなものという印象があります。