さまざまな言葉5

 今年もあと11日。早いものです。

 私は言葉が好きな人間だと思います。といっても、文学はそれほど好きではなく、最近は新聞もそれほどは読みません。しかし言葉が好きです。言葉は結局のところ真実ではなく、真実を指し示すものに過ぎないということも知っています。しかし言葉はその人の現実を作り出します。ぼっーとしてあいまいに見える世界に向かって言葉を発するとき、私たちは自分の世界を作り出します。

 最近気になった言葉をいくつか取り上げます。

・未来は直線ではなく必ずブレて来る。だから大丈夫。(名越康文
→きちんと日々生きていればそれにふさわしい未来は約束されてはいるものの、自分の希望する通りにまっすぐには来てくれません。かつてアインシュタインは「神は老獪なり」と語りましたが、それが神のやり方であるのかもしれません。しかし大丈夫。世界そして日本は多くの問題を抱えてはいるものの、未来は明るいと思っています。

・頭を使えば使うほど、鍛えられる。しかも歳をとっても。大人になると記憶力が衰えるといわれるが、脳科学的に嘘。大人と子どもの記憶の仕方が違うだけで、大人になって子どもと同じように記憶しようとするから覚えられない。大人の記憶法はどんどん関係性をつなげて覚えるのがbetter!(横山昌陽)
→私は人に記憶力があるねと時々いわれます。とはいっても、記憶力のテストをしたことがあるのですが、平均でした。単なる知識は覚えるのが今でも苦手です。しかし過去誰とどこであったとか、何を話したとか、そういうのは人が驚くほど覚えているようです。関係性において物事を記憶するのがいいよう。単に脳の容量に頼るのではなく、他者との関係、世界との関係が大切だと、私も歳をとって実感しています。

・PCのマウスを買い替えに秋葉原のヨドバシ。マウスのくせに100種類以上あり迷い迷って末に購入を断念。ヨドバシは何を買うにしても種類が豊富すぎて辛い。選択肢が多いことが幸福や自由だと履き違えている。選択肢が少なければ少ないほど、そこにある幸福や自由が鮮明に見えてくるというのに。(吉見マサノヴ)
→おもしろい考察だと思います。かつて『選択の科学』という本を読んだことがあるのですが、この本によるとスーパーの売り上げは品揃えが多いよりは6種類ほどの選択肢に制限したほうがいいとのこと。現代は人に選択を強いる機会が多いと思うのですが、私は選択がしんどく感じることがよくあります。ものを吟味するには選択が多くないほうがいいと思います。物の選択に限らず、人生の選択においても。ちなみに私は一日が順調に進んでいるときは、選択することなしに一日を生きています。とはいっても、まったく選択の余地がないのもどうかと思いますが。