インフルエンザに思ったこと

約1週間ほど前、体が寒気を感じ、数日間はだましだまし過ごしていましたが、症状が重くなりました。病院に行くとインフルエンザでした。インフルエンザにかかったのは何十年ぶりでしょうか? もう記憶に残っていないくらいです。少なくともこの10数年はかかっていません。インフルエンザはいま全国で猛威を振るっているようで、私もそのデータを押し上げる一人となってしまいました。

 私はかつて平熱が36.8分と高かったのですが、この20年ほどで体温が低下してきました。知り合いに助産師をしている人がいて、その方によると、最近日本人の平均体温が下がってきているとのこと。私の平熱は現在35度台です。その私が39度台の熱を出し、夜は熱と咳とでなかなか眠れない日を数日過ごし、昼間に休養を補って、なんとか平常に戻りつつあります。

 インフルエンザはやはりきつかったです。思考がほとんど働かず、眠れぬ夜、時に真っ暗な中、時に電灯を付け天井を見上げていましたが、ああしたい、こうしたいという思いもなく、のどが渇けば水を飲み、そして時々トイレに行っての繰り返しでした。命の危険を感じることはなかったのですが、しかし、自分の先々の死に際について思いを深めるきっかけとなりました。

 バガヴァッド・ギーターのなかにありますが、人間は死ぬ際の思いによって次の人生が決まると言われます。死ぬときに神の御名を唱えながら肉体を脱げば神の御元へ行くことができるといいます。浄土系の宗派でも臨終来迎をいうところもあります。私は死を恐れてはいないのですが、できるだけ死に際には気をつけたいと思っています。

 人が死に臨むとき、かなりの病を身に得ていることが想定されます。つまり、今回のインフルエンザの場合のように、症状によっては思考がほとんど働かない状態に置かれるということです。死に際して、自分の思いをより善い状態に保つ努力がその時点でできないかもしれません。このことに、今回初めて気づきました。これは死に際を大切にしたい私にとって貴重な教訓でした。

 普段通りの生活を目指して、また頑張っていこうと思います。
 皆様におかれましても、風邪やインフルエンザにはどうぞお気をつけください。病の良い点もあるのですが、味わう必要のない人には苦しんで欲しくありません。手洗い、うがいを励行され、健康で平安な日々を過ごされますように。―立春の日に